
白砂の流れに浮かぶ、苔の島々。
無駄のない線と、石の置き方に込められた「間」の美しさに、しばし足が止まりました。
苔の盛り上がりには柔らかさがあり、あえて高低差をつけて光の陰影を引き出している。
その間を縫うように白砂が流れ、静かな川のように庭全体をつないでいます。
中央の石には、小さな結界のような意匠が置かれていて——
まるで「ここから先は静寂の領域です」とでも語りかけてくるよう。
この庭は広さを誇るのではなく、**”心を鎮めるための密やかな場”**として、徹底して設計されています。
“見せる庭”ではなく、“感じる庭”。
その思想に、深くうなずかされました。

中央に構える大石は、まるで“動かざる意思”のような存在感。
そのまわりを白砂の流れが静かに縫い、苔の緑が柔らかく受け止めている。
庭は広くない。けれど、この小さな空間のなかに、
重さと軽さ、硬さと柔らかさ、静と動が、きっちりと納まっている。
石が語る声に耳を澄ませば、
そこに確かに“流れ”があるのがわかる。
この庭は、見るものじゃなく、「読む」もの。
石の表情を読み、白砂の意図をくみ、苔の湿り気を感じて——
すこしだけ、心を置かせてもらいました。

建物に寄り添うように置かれた灯籠と、控えめに整えられた植栽。
その手前には、落ち着いた色合いの庭石が、静かに呼吸するように据えられている。
派手さはない。けれど、そこに流れる“品”は深い。
この庭には、つくり手の「引き算の美意識」が貫かれている。
石の大きさ、灯籠の高さ、そして軒下との距離感——
すべてが丁寧に調整されていて、心地よい“間”が生まれているのがわかる。
この一角だけでも語れることは多いが、
庭全体を通して見ると、さらに深く感じられるものがある。
詳しくは、YouTubeにて動画でご覧ください。
静けさのなかに宿る、美のすべてをお届けします。
コメント