



荒割(あらわ)りとも呼ばれる工程で、自然石の形を見極めながら、ハンマーとチゼル(たがね)を使って石を割っていきます。
石には“目(め)”と呼ばれる割れやすい方向があり、それを見極めて力を加えると、石は「音」で応えてくれる。
一発ではなく、少しずつリズムをとりながら、割りたいラインを石に伝えていく――まるで会話をするような作業です。
この加工によって、くずれ積みの石としてふさわしい石壁に近づけていきます。

石の形を見極めながら、ノミ(たがね)を当てて細かく削り、納まりのよい形に整えていく工程です。
くずれ積みでは、石の表情をできるだけ自然に残しつつ、“積める”形に微調整することが求められます。
このとき削りすぎてしまえば不自然に見える。逆に削らなければ納まらない。
だからこそ、一撃一撃に「迷いのない判断」が必要になります。
削りながら、「この石はここに収まりたがっているか?」と確かめるように、石の声を聞くようにノミを入れる――
それが、この工程の“肝”です。


1段目が積み上がりました。
最下段は、くずれ積みにおいて最も重要な「基礎の骨格」です。
一つひとつの石を“据える”位置と角度は、
すべてこの段で決まり、この段で「流れ」が生まれます。
地面の微妙な起伏を読みながら、
あえて整えすぎず、崩しすぎず――自然に見えて、構造はしっかりと。
石の重さ、重心、噛み合わせ、それぞれの性格を見極め、
“納まる場所”を石に聞きながら積んでいく。
ここが整えば、上に続く石たちも自然と「居場所」を見つけてくれます。
この技法の魅力は、映像でこそ伝わります。
ぜひYouTubeで、職人の手仕事をじっくりご覧ください。
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