苔と水が奏でる庭の時間|旧竹林院で出会う和の心 Moss and Water in Harmony – Discovering Japanese Aesthetics at Kyuchikurin-in

日本の庭園

苔むす石垣に挟まれた小道の先、ひっそりと佇むのは旧竹林院の表門。
深い歴史を感じさせる瓦屋根と、木肌の風合いが美しい門構えは、どこか懐かしさを誘います。

この門をくぐる瞬間、まるで別世界へ足を踏み入れるような感覚。
奥に見える苔庭や石垣の景色が、訪れる人の心をそっと解きほぐしてくれます。

静けさに包まれた和室の窓辺から眺める庭園は、まるで一幅の絵画。
ガラス越しに差し込む陽の光が、畳と木の床をやわらかく照らし、室内と庭の境界を曖昧にしていきます。

整えられた丸みのある低木や石組みの陰影が、自然のリズムと人の手の調和を感じさせ、
ただ「見る」だけでなく、五感で味わうような時間がそこに流れています。

赤い毛氈のベンチが庭の彩りとなり、訪れた人に静かなくつろぎの場所をそっと差し出してくれるようです。

🍃 苔が主役の庭園美 ― 静寂と生命の調和 ―

やわらかな陽ざしに包まれた庭一面に、豊かな苔が広がります。
その緑は一色ではなく、濃淡や質感が折り重なるように地を覆い、まるで自然の絨毯のよう。

控えめな低木と冬木立が、苔の美しさを引き立て、
静かに流れる小川と飛び石が、風景にリズムと動きを与えています。

水面には木々が映りこみ、風の音と鳥の声だけが響く中、
時の流れがゆったりと穏やかに感じられる——そんな庭です。

ここは、ただ歩くだけじゃもったいない。
腰を下ろして、深呼吸したくなる庭。

二階から眺める庭園の特等席

畳に座り、静かに目をやると、
障子越しではない”生の景色”が一面に広がっています。

大きく切り取られたガラス窓の向こうには、丁寧に手入れされた植栽と石組、
そして奥には、茅葺の屋根や灯籠がそっと控えています。

まるで一幅の絵画のような眺め。
ここは、庭を“見る”のではなく、“感じる”場所です。

光と影、緑と木の温もりが、部屋の中にまで染み渡ってくるような──
そんな静寂の美が宿る、二階の特等席です。

二階から見下ろす、庭全体の景色

二階から眺めると、この庭がどれほど綿密に設計されているかがよく分かります。
流れゆく小川にかかる石橋、苔むす地面にリズムを刻むような飛石、
そして奥へとゆるやかに続く水の流れ。

すべてが自然に見えるけれど、実は一つひとつが計算された配置。
庭師の目と手が、ここまでの調和を生み出しているんですね。

上から見ることで、低い場所では気づかなかった“全体のつながり”が見えてくる。
この景色はまさに、庭そのものの「設計図」を読むような楽しさがあります。

草庵風の素朴なお茶室。
竹で編まれた垣根と、土壁や古びた木の柱が醸す風合いが、日常からふっと心を解き放ってくれる。

この畳の上に座れば、自然と背筋が伸び、心の内側に静寂が広がっていきます。
侘び寂びの美、その原点がここにある気がします。

手を加えすぎない、控えめな設えの中に、時を超えて受け継がれてきた日本人の精神が息づいている。
そんな感覚を味わえる、小さくも深い空間です。

水面に浮かぶ苔むした飛び石、枝ぶりに風格を感じる樹木たち。
ここには、誰かが語らずとも手をかけ、心を注ぎ続けてきた時間があります。

静かに佇んでいると、水の音と苔の香りがじんわり染みてきて、
気づけば、庭の一部になったような気持ちになる——。

そんな余韻を残しながら、旧竹林院の庭をあとにしました。
またふらりと訪れたくなる…そんな場所です。

静けさに包まれた苔の庭、石の表情、水のきらめき——
そのすべては、写真だけでは伝えきれないほどの美しさです。

庭を歩き、眺め、音を感じるそのひとときを、
映像でも丁寧に記録しました。

🌿 詳しくは、YouTube動画でご覧ください。
庭の息づかいや移ろう光の美しさを、ぜひ映像でも味わっていただけたら嬉しいです。

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